モバイルファーストなプリント作り
PDFの問題
PDFは、印刷することを前提にレイアウトを固定した文書ファイルです。印刷を前提しないのであれば、通常のHTMLにするべきです。PDFは、モバイルには不向きです。例えば、何らかの理由で、学校だよりは印刷しないでホームページにアップロードして済ますとします。ディスプレイ上で閲覧が難しいレイアウトをされれば印刷するかもしれませんが、多くは印刷しないで閲覧します。そうであれば、閲覧に適した方法に学校だよりも変化しなければなりません。しかも「モバイルファースト」で、です。そもそも印刷しない学校だよりの存在の意義はあるのかという議論も必要かもしれません。「学校の様子がわからないので、学校だよりをもっと!」という保護者は、ホームページを見ていません。
外部向けPDF資料
過渡期としてまだまだPDFは健在なのかもしれません。本校のホームページのアクセスの8割以上がモバイル端末からです。しかし、情報発信する側の学校には、パソコンがあり、先生方はパソコンに向かって文書を作成します。働き方改革とかデジタル化とかいいながら、レイアウトに時間をかけています。
PDFは、パソコンで普通に作成すると、モバイル端末では文字が小さいため、ピンチアウトしなければなりません。すると横へのスワイプ操作が必要となり、非常に読みづらくなってしまいます。
実は、横に文書が長いという問題は、平成初期にB規格からA4サイズに移行したときにすでに発生していたものだったはずなのですが、あまり問題とされませんでした。
まず、これを改善するには、2段組や3段組を考えてみてはいかがでしょうか。印刷物に対しても、ウェブ公開するものに対しても、読みやすい文書を作成することができます。
- 単に紙のデジタル化ではなく、ディスプレイで見ることを想定する
- 印刷をしないとなると文章が長くなったり、資料を多くつけてしまいがち
- 文字は視認性に優れているUDフォントを使う(UD=ユニバーサルデザイン)
- 文字サイズを大きく
- 行間は1.5、字間は0に
- 箇条書きを使う
- 印刷を前提としたものはA4縦がいい
- 文字数を極限まで減らしたいけど、これが一番難しいかも
- 文書作成をする人の業務軽減も重要ですが、それを見る多くの人の負担軽減も大事です。トータルで軽減できたらいいですね。
一般的ではないルール
送り仮名
日本語の表記には、国から強制されたルールはないので、どれも間違いにはならないのですが、統一しなければならないということで、それぞれの団体で表記のルールが決められているのが現状です。
日常の日本語表記は、新聞の表記をベースにしていて、雑誌なども新聞の表記を参考にしています。
共同通信社の「記者ハンドブック」は非常に有名で、他の新聞社も「記者ハンドブック」を参考にしてルールが決められています。つまり、日常の日本語表記は、「記者ハンドブック」が基本となっているということです。
ところで、「取組」という表記ですが、「記者ハンドブック」では、名詞として使うときは「取り組み」なのですが、注意書きがあって、相撲の取組は、「取組」と表記することになっています。しかし、官庁や地方自治体の表記は、注意書きがなく、名詞はすべて「取組」と表記することになっています。
昭和34年の内閣公示では、慣例で送り仮名のないものも許容しているという説明でした。内閣公示を受けて、文部省が作成した送り仮名用例集では、名詞として使うときは、選択肢がなく「取組」となっています。昭和31年に初版が出ている「記者ハンドブック」と異なっています。
1桁の数字は全角
算用数字の1桁は全角にするというルールは、縦書きを考慮したものだと考えられます。1桁は全角にして、2桁は半角を2文字並べます。3~4桁以上は、右に90度回転させます。現在横書きが多くなり、英数字は半角とするのが一般的です。なお、新聞は数えられるものに対する数字も漢字で表記するので、数字の1桁が全角なのは、ワープロ専用機時代にどこかで始めたローカルルールなのだと思います。縦書き原稿用紙に縛られた環境というのは、どこ?
1桁は全角というルールで文書を作成するとき、パソコンの日本語変換には学習機能があるため、全角で決定するとその後も全角になります。文書を推敲しているうちに、数字の全角と半角がグシャグシャになってしまっている文書を校内外でよく見かけます。
段落の字下げ
日常、紙面での文章では、段落の最初は一字下げをおこないます。ところが電子メールやブログなどのウェブ上の文書の場合は、一字下げをおこなわないことが多いです。その代わりに段落の間に空行を入れます。国語の作文の授業でも、段落の最初は一字下げ、と教わったのになぜその基本を簡単に無視してしまうようになったのでしょうか。
字下げも空行も、目的は読みやすさ。紙面の場合は、紙面における文字の面積を節約するために、空行を入れずに字下げで段落の区切りを表現しています。
辞書で「段落」を調べると「長い文章を内容などからいくつかに分けた区切り」とあります。長い文章でなければ、段落の字下げは不要ということになります。例えばタイトルとか前文などは、段落ではないので字下げ不要です。
何でもかんでも字下げをする習慣がついてしまっていますが、通知表の所見などは、段落はないので、字下げは不要です。