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学校ホームページのシステム管理

学校ホームページの作りは、自治体や学校によってさまざまです。ホームページは使われるシステムによって、情報発信の手法も無意識に変わってくるものです。

内容から見る分類

学校ホームページで発信している情報にはいくつかの種類があります。まず、内容による分類を更新頻度で考えてみました。

学校の基本情報(更新なし)

校歌や校章、教育目標、アクセス方法など、基本的に変更がない学校そのものの情報。一度作成されると、ほぼ変更することはありません。個人サイトのプロフィールのようなものです。

調査結果(毎年更新)

情報公開として育成プログラムやいじめ防止基本方針、学校評価など。基本的に毎年更新されるもの。ニーズは低いかもしれませんが、情報公開としてサイトで公開されています。

配布物(毎月更新)

学校から流れる情報のうち、毎月プリントとして配布されていたような情報。行事予定や給食だよりなどが含まれます。

日々の様子(随時更新)

日々の様子を伝えるもの。更新頻度が高いので、これが多いと訪問者が増えます。逆に言うと更新頻度が低いと訪問者は当然少なくなります。

閲覧者側から見る分類

閲覧者側から見ると必要とする情報は異なってきます。公立の多くの学校は保護者向けと考えて情報発信している傾向があります。

保護者・児童生徒

公立の学校で、おそらく一番優先しているのは、保護者なのではないでしょうか。行事予定や給食だより、日々の様子などがよく見られるコンテンツです。中学生になれば、生徒自身が行事予定や日々の様子をよく見ると思います。一方、学校の基本情報などは見ることはないでしょう。

地域の住民

教師の視点では想定に入っていないのが地域の住民からのアクセス。 学校の基本情報を見ることはないと思いますが、学校の日々の様子を見ることはあるでしょう。数字としてはかなり少なくなるはずですが、学校に関わりを持つ地域の方は、サイトを見て見守ってくれています。

教師

所属している学校のホームページを見るかは、内容次第。行事予定や給食メニューを見る先生がいるかもしれませんし、日々の様子を見る先生もいます。また、転勤が決まると転勤先のホームページを隅々まで見ます。

入学希望の保護者や生徒

高校の場合、進学する学校を選ぶときに、公式ホームページは手軽にチェックできる資料となります。ホームページの印象は大きいと言えるでしょう。素人っぽいサイトだと、学校自体が時代遅れな印象となるかもしれません。

転入希望の保護者や生徒

転勤などで住む場所を決める時、子どもが通う中学校をどこにするかを考えて、住む場所を決めることがあります。そのときに日常の様子が更新されている学校は印象が良いようです。ホームページを見てこの学校のエリアに住まいを決めたという転入者は、よく見かけます。

システムの分類

最近は、自治体ごとにホームページ管理システムを導入しているところが増えています。しかし、まだ昔ながらのホームページビルダーを使っているところもあります。

HTMLファイルアップロード型

ローカルのアプリなどでHTMLファイルを作成し、画像と一緒にアップロードするタイプ。ホームページビルダーが有名でしょう。テンプレートを使えば、ある程度統一感のあるサイトを維持することはできますが、担当者が変わるとだんだん統一感がなくなってきます。担当者が変わらなくても、だんだん崩れていくことがあります。 ローカルのファイルにリンクするなどをして、ネット上で表示できないファイルがあったり、InternetExplorerでしかまともに表示できないサイトを作ったりします。 テキストや画像の配置が自由にできるモードがあり、これを使うと閲覧者がブラウザの文字サイズを変えるだけでまともに読めないほど画面が崩れます。 素人が引き継ぐと悲惨なことになります。

ファイル置き場型

カテゴリの一覧があり、その中にPDFが一覧となって表示されるタイプ。紙のプリントを配布していたものをPDFにして公開することで、情報発信するというタイプ。 「ふれあい通信」というサービスはこのタイプに入れるとしましょう。紙のプリントをそのままPDFにしてアップロードすれば仕事は終了するので、労力はかなり軽減することでしょう。一応、写真と文章を載せることができるのですが、閲覧者のことを考えていないインターフェースです。

ブログ型

一斉を風靡したブログですが、今でも日々の様子を伝えるのには最適なツールです。開けば今日の様子がわかり、カテゴリ別に表示することもできます。ただし、どんどん記事は流れていくので、固定コンテンツの管理には適していません。学校の情報を発信するのには、ブログ型のみのシステムは適していないように思います。

固定ページ型

WIKI型のシステムのこと。学校の情報を流すなど、固定したページを管理するのに適しています。しかし、日々の記録を流したいときは、「2024年度学校の様子」などというページを作成して、ひたすら長いページを作成することになりがちです。

ブログ型と固定ページ型の併用

頻繁に更新しない内容は固定ページで、日々の記録はブログ型を使います。WordpressやMovableTypeはブログシステムと認識しているかもしれませんが、今は、ブログと固定ページを混合できるコンテンツマネージメントシステムとなっています。

学校ホームページとして適しているのは、最後に紹介した「ブログ型と固定ページ型の併用」です。更新のないコンテンツと頻繁に更新されるコンテンツが混在している学校ホームページは、単純なシステムでは運用が難しく、併用型のほうが便利です。

学校ホームページに必要な機能

モバイル対応

スマホやタブレットで閲覧する人が多いので、当然モバイル対応が必要です。

なお、職員室のパソコンを目の前に仕事をしている先生方は忘れがちなのですが、PDFをアップロードされてもスマホの画面では見ることができません。ピンチアウトして大きくできるのでは? と思うかもしれませんが、A4サイズで横幅いっぱいに書かれた文字列を見るのは一苦労です。せめて2段組とかしてくれるとありがたいです。そもそもPDFを閲覧するすべを知らない保護者もいます。PDFを見るための設定が非常に高度なことと感じるレベルの保護者がいるということです。

検索

意外と装備されていないのが検索機能です。そのため閲覧者は、コンテンツの内容からカテゴリを予想してサイト内を探すことになります。固定コンテンツはそれほど多くはないので不要かもしれません。日々の様子も毎日見ていれば不要なのかもしれません。しかし、ふと訪れた人が必要とするものを探せないかもしれません。特にPDFを使っていると検索機能は難しいかもしれません。

学校ホームページの実態

「ブログ型と固定ページ型の併用」を導入している学校はほとんどありません。これは導入したときの時代にもよるかもしれません。PDFをアップロードできればそれでいいのか、ブログ全盛期であればブログ型、ホームページ導入から変わっていなければホームページ・ビルダーと、時が止まっている学校も多くあります。公立の学校だと、特にその傾向は強いです。

何より入札制度で導入されるので、使いやすいものが導入されることはまずないと考えたほうがいいでしょう。WordpressやMovableTypeを導入した学校はあるのでしょうか。見た目は企業や私立学校のようなきれいなサイトでも、機能は装備していないこともあります。

システム構築の変遷

最初のころは、学校ホームページを開設すること自体が目的でした。開かれた学校を目指して、情報を発信するという目的なのですが、内容は、学校の紹介ばかり。学校目標や校長のあいさつなど、学校側が考える学校からの情報発信です。学校ホームページが存在すること自体で満足していました。

時代が進む中で、ブログ全盛期に開設した学校ホームページは、ブログシステムを活用したサイトにリニューアル。日常の様子を発信する方向が加わります。ただし、日常の様子といってもほぼ行事があるときに更新される程度です。それでも、テンプレートがあるので、画面が崩れづらいシステムになっているのが利点でしょう。文章と写真を用意すれば記事が作成できるということで、ホームページの更新が楽になりました。専門知識に対するハードルも低くなりました。

その後、働き方改革というキーワードのもと、紙の配布物の代わりにPDFをアップロードするというシステムが登場しました。企業では見られない独特のシステムです。学校だよりや給食だよりを公開することで、学校からの情報発信としたのです。紙の配布物とブログ的な情報発信の二重の作業が不要になるメリットはあるでしょう。しかし、情報発信手段が2つになっただけで、情報が増えるわけではありません。専門知識は不要で、それぞれの担当者がアップロードすればいいという流れを作ることができます。

学校ホームページが目指す方向

公立の学校の場合、SNSなどの民間のサービスは禁止されることが多いです。更新履歴がわかりやすいサイトはあまりありません。それを補うのがSNSかもしれません。企業ではよく利用されています。

公立の学校は、もっぱら入札制度で安いシステムが導入されます。学校ホームページの流れを理解している業者が開発するわけではありません。それどころか、教育委員会も現場の学校も学校ホームページの方向性に対する認識はあいまいです。

企業の場合は、対象が顧客と限定されるのに対して、学校は意外と対象が広いです。担当者はそのことを認識していません。保護者を対象と考えています。教育委員会から公開を指定しているコンテンツもあります。ただし、閲覧対象者が不明。誰が見たい情報なのかわからないものもあります。

学校ホームページが目指す方向ははっきりとどこからか示されているわけではありません。ただ、閲覧者が多様であることから、対象者に別に道案内があるべきです。学校の基本情報などの共通コンテンツに加えて、入学希望者への案内や保護者向け情報、そして、日常の様子がわかるコンテンツ。日常の様子は、頻繁に見ることを考えるとブログ形式との相性がいいでしょう。

ホームページの内容が更新されていると、訪問する頻度が高くなります。そうなれば、学校からの情報発信もしやすくなります。

毎日でも週末でもいいのですが、定期的に見に来たくなるサイトの構築は、手間がかかります。コンテンツの更新が簡単になるようなシステムの導入が必要です。

情報発信がされていると、保護者の学校に対する意識にも好影響となります。学校で何が行われているかが見えると安心感があります。生産者の顔が見える野菜と同じです。

生産者の顔が載せてあることがどんなメリットがあるのかと疑問に思う人もいるでしょう。人の顔があるだけで、人の存在を意識させ、商品に安心感を与えることができるというのです。

顔が見える学校ホームページ。校務では重要視されることがない部署ですが、外部との窓になっているということを意識したシステム構築が必要となるでしょう。

document/school_homepage_system_construction.txt · 最終更新: 2024/03/08 by administrator

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