教師の道具箱

教師の業務の効率を高めるソフトウェアや情報を提供

ユーザ用ツール

サイト用ツール


document:method_of_calculation

評定算出の計算方法

 エクセルを使って評定を算出するときの計算方法を考えます。お使いのエクセルファイルが評定者の意図と一致しているのか把握していますか? 誰かからもらったファイルの場合、評定者が意図しない計算結果になっていることがあります。ファイルを作った人も知らないかもしれないエクセルの特性もあります。

【1】観点から評定を出すとき

①到達度方式

  • 観点ごとの到達度を集計し、評定の到達度として計算する方式
  • AAAが必ずしも5にならないことがあり、保護者から質問されることがよくあります。

②ABC数値化方式

  • 観点のABCを321や531と数字にして、その平均を評定とする方式
  • AAAは必ず5になるので、説明は楽ですが、3つの観点がギリギリでも70%を超えていれば、5になります。反対にCCCは必ず1になります。
  • ちなみに、ABCを数値化する際、321と531にするかで評定が違います。
  • 評定を判定する数値を、途中で丸めるのはおかしい。

【2】到達度の端数処理

①切り捨て

  • 69.99…は70に到達していないから、評定は3だとする方式。
  • エクセル任せやrounddown関数を使っているものはこの方式。
  • 切り捨てするということは、④の四捨五入方式から見ると、実質、全生徒の到達度から0.5%を引き算していることになりますが、その説明はできますか?
  • ちなみに69.99…が70かどうかは、数学者でも意見が分かれる問題。当然、数学の先生でも意見が分かれますが、ここでは実質0.5%を引き算していることが問題。
  • 整数に切り上げをしている学校もある中、その学校との差は、到達度で約1%低く評価していることになります。

②小数点第1位(小数第1位)に四捨五入

  • 到達度が69.9で3となった場合、「その0.1って何が足りないのか」という質問がでる。テストが0.1刻みではないのに0.1の説明はできません。
  • 「コンピュータの計算結果」というのが理由でいいのでしょうか?(ダメです)
  • 採用校はたぶんあまりない。

③小数点第1位(小数第1位)に切り上げ

  • 採用校はたぶんない。

④整数に四捨五入

  • 全国ほぼすべての学校で、家庭に通知されている方法。
  • 「50%〜69%が3」と案内されている学校もあるくらい。
  • 新宿区や足立区の中学校で公開されている資料では、整数で評定算出の説明がされている。
  • 塾のサイトが、「整数に四捨五入」と書かれていて、一般的な認識も、この方式と考えられる。
  • 69.5%が4でも教務点検を通過する。

⑤整数に切り上げ

  • 採用している学校は少ないかも。
  • 小数点付きで到達度を通知するときの0.1%の説明は困難なので、切り上げしてしまうのかは不明。
  • 初めてこれを聞くと違和感を感じる。
  • 四捨五入方式で、69.9などはたいてい評定算出段階で微調整してしまうが、切り上げ方式だと目の前で切り上げしていることがわかるので、保護者も生徒も得した気分になる。ちょっとしたイメージアップになる。「69.1で4ですか? まあなんて素敵な学校なのでしょう…」。疑問をもっても文句は言わない。
  • 当然、教師側は0.1%の説明が不要になる。
【余談】小数点の問題 (④の補足)

 コンピュータを使う前の時代は、小数点なしの数字で評定を出していたのですが、コンピュータが自動で計算するようになって、まるで小数点0.1%で評定が左右されるかのような錯覚していませんか? そんな高い精度で日常の評価はしていません。定期テストでさえ、多くて100点刻みです。

 有効数字というものがあり、たとえば、50.1kgと50.3kgの平均は50.2kgとなります。同じように51点と53点の平均は52点です。52.0点とは表記しません。評定を出す程度のサンプル数では、小数点以下は無意味で不要だそうです。端数は四捨五入します。

 また、到達度は「50%以上70%未満」と、整数表記であって、「50.0%以上70.0%未満」ではありません。整数で評定を判定するのが正しいのですが、小数点がつくと、なんとなくコンピュータを使って、きちんと計算した気分になるので、小数点付きに慣れていると、違和感を感じるかもしれません。

【3】学年末の処理

①年間通して、到達度を集計し、学年末の評定とする

  • 後期の項目が少ない場合もあり(特に3年生)、年間でバランス良く集計することができる。
  • 4つの定期テストの重みを同じにすることが容易で、感覚的にも自然。

②前期と後期の到達度を1:1で合計し、同じ割合になるようにする

  • 後期の項目数が少ないと、後期の重みが歪んで大きくなる。
  • 後期を重視したいならアリかもしれませんが、意図した割合かは疑問。
  • 1、2年と3年で違うのもおかしい。
document/method_of_calculation.txt · 最終更新: 2022/09/24 (外部編集)

Donate Powered by PHP Valid HTML5 Valid CSS Driven by DokuWiki